2023年のゴルフルール改正で知っておきたい10のポイント

ゴルフは古くから伝統あるスポーツですが、時代や環境の変化に合わせてルールも進化しています。2019年には大規模なルール改正が行われ、プレーの簡素化やスピードアップが図られました。そして、2023年にも新たなルール改正が施行されます。

2023年のルール改正は2019年のものほど大きくはありませんが、プレーに影響する変更点もあります。この記事では、2023年のゴルフルール改正で知っておきたいポイントを解説します。

1. 自立式パターで方向を確認することが禁止になる

自立式パターとは、ヘッドが重くてシャフトが軽いパターで、ボールの後ろに置いても倒れないように設計されたものです。このパターを使って、ボールとピンのラインを確認することができます。

しかし、2023年からはこの方法は禁止になります。自立式パターで方向を確認することは、規則10.2b(4)に違反すると判断されたからです。この規則は、プレーの線を示すために物を置いてはならないというものです。

自立式パターで方向を確認することが禁止になるのは、2025年1月1日からです。それまでは移行期間として許容されます。ただし、用具規則に適合したパターであれば、通常のストロークを行うために使用することは問題ありません。

2. 自然の力が動かしたボールを元の位置に戻すことが義務になる

ドロップやプレースやリプレースした後にボールが静止したらインプレーになりますが、その後に風や傾斜などの自然の力でボールが動いてしまった場合、どうすればいいでしょうか?

これまでは、ボールが動いた場所でプレーしなければなりませんでした。しかし、2023年からは、ボールが動く前の位置に戻してプレーしなければなりません。これは無罰で行えます。

例えば、池から1打罰で救済してジェネラルエリアにドロップしたボールが一旦止まった後に傾斜で動き出して再び池に落ちてしまった場合、これまでは再度1打罰でドロップしなければなりませんでしたが、2023年からは無罰で元の位置に戻してプレーできます。

ただし、この規則はジェネラルエリア(ティーイングエリア、ペナルティエリア、バンカー、パッティンググリーン以外のすべての場所)に限られます。他のエリアでは従来通りボールが動いた場所でプレーしなければなりません。

3. 間違ってボールを取り替えたときの罰が軽減される

プレー中に間違ってボールを取り替えてしまった場合、どんな罰が科されるでしょうか?

これまでは、規則6.3b(1)により一般の罰(ストロークプレーでは2打罰、マッチプレーではホール負け)が科されました。しかし、2023年からは規則6.3b(2)により1打罰に軽減されます。

特に注意してほしいのはグリーン上です。グリーン上でマークした際にポケットにボールを入れておき、取り出すときに予備のボールと間違えてしまうことが想定されます。取り間違えて1打罰を受けてしまうと非常にもったいないです。必ず同じボールを使うようにしましょう。

4. 後方線上救済エリアの範囲が広がる

後方線上救済エリアとは、ペナルティエリアや不可動障害物などから救済する際に選択できる救済方法です。この救済方法では、基点からピンと反対側へ延びる直線上(後方線上)上限なくドロップすることができます。

これまでは、ドロップしたボールは基点よりピン側へ近づかないようにしなければなりませんでした。しかし、2023年からは基点から1クラブレングス以内(どの方向でも可)に止まれば救済完了となります。

これは救済エリアを広くすることでドロップしやすくする目的です。ただし、ドロップしたボールがピン側へ近づくこと自体は依然として禁止されています。

5. 地面にくい込んだボールの救済基点がジェネラルエリアに制限される

地面にくい込んだボールとは、地面や芝生や土や砂など柔らかい物質(水や雪や氷や植物以外)の中に一部でも埋まっているボールです。このようなボールは無罰で救済することができます。

これまでは救済基点は球原位置(地面にくい込んだボールがあった場所)でしたが、2023年からはジェネラルエリア(ティーイングエリア、ペナルティエリア、バンカー、パッティンググリーン以外のすべての場所)に制限されます。

これは、ボールの直後にジェネラルエリアがない場合、基点が決められないという問題を解決するためです。例えば、バンカーの壁にくい込んだボールの場合、これまでは基点がバンカーの壁になってしまい、救済が困難でしたが、2023年からは基点がジェネラルエリアになるので、救済が容易になります。

6. プレー中に破損したクラブの交換が可能になる

クラブはプレー中に破損することがあります。例えば、ヘッドやシャフトやグリップが割れたり曲がったり外れたりすることです。このようなクラブは使用禁止となります。

これまでは、クラブを破損したプレーヤーはそのクラブを交換することができませんでした。しかし、2023年からは規則4.1b(4)によりクラブを交換することができます。

ただし、クラブを交換できるのは以下の場合だけです。

  • クラブは自然な摩耗や通常の使用以外の原因で破損したことを証明できる場合。
  • クラブはプレーヤー自身やキャディーや他の人や物によって意図的に破損された場合。
  • クラブはプレーヤー自身やキャディーや他の人や物によって意図せず破損された場合。

クラブを交換する方法は以下の通りです。

  • クラブは同じ種類(ウッドやアイアンやパターなど)か同じ番手(1番ウッドや7番アイアンなど)か同じ特性(ロフトや長さや重さなど)のものである必要はありません。
  • クラブはプレーヤー自身かキャディーや他のプレーヤーや観客から借りることができます。
  • クラブは用具規則に適合している必要があります。
  • クラブは14本以内である必要があります。

7. 2つ以上のルール違反の数え方がシンプルになる

プレー中に2つ以上のルール違反を犯してしまった場合、どう罰打数を数えればいいでしょうか?

これまでは、2つ以上のルール違反を犯した場合でもそれぞれ別々に罰打数を加算しなければなりませんでした。しかし、2023年からは規則1.3c(4)により最大でも2打罰(マッチプレーではホール負け)とすることができます。

例えば、ペナルティエリアから救済せずにボールを打ってしまった場合(1打罰)、その後間違ってボールを取り替えてしまった場合(1打罰)、これまでは2打罰だったのですが、2023年からは1打罰とすることができます。

ただし、この規則は以下の場合には適用されません。

  • 同じ行為で2つ以上の規則違反を犯した場合(例えば不正なクラブで不正なボールを打った場合)
  • 競技委員会から指示された方法以外で救済した場合
  • 競技委員会から指示された方法以外で再プレーした場合
  • 競技委員会から指示された方法以外で復元した場合
  • 競技委員会から指示された方法以外で球原位置へ戻した場合
  • 規則違反を隠そうとした場合

8. クラブ特性を変えるものに「外部付属物」が明記される

クラブ特性とは、クラブのロフトや重さや長さやバランスなどの性能や特徴です。これらのクラブ特性を変えることは禁止されています。例えば、シャフトを曲げたり切断したりすることです。

しかし、クラブ特性を変えるものには「外部付属物」というものもあります。これはクラブ本体ではなく別物です。例えば、グリップテープやウェイトテープやマグネットなどです。

これらの「外部付属物」も2023年から規則4.1a(1)に明記されました。これらをクラブに付けたり取り外したりすることもクラブ特性を変えることとみなされます。ただし、「外部付属物」自体は用具規則に適合していれば使用可能です。

9. ボール捜索時間内でも追加時間内でも確認時間内でも再プレーしなければならなくなる

ボール捜索時間内でも追加時間内でも確認時間内でも再プレーしなければならなくなる

ボール捜索時間とは、ボールを見失ったときに掛けることができる時間です。これは規則18.2aにより3分間です。この時間内にボールを見つけられない場合、ボールはロストとなります。

しかし、ボール捜索時間内にボールを見つけた場合でも、そのボールが自分のものかどうか確認する必要があります。この確認するための時間は規則18.2aにより1分間です。この時間内にボールを確認できない場合、ボールはロストとなります。

また、ボール捜索時間内にボールを見つけた場合でも、そのボールがプレー可能かどうか判断する必要があります。この判断するための時間は規則18.2bにより合理的な時間です。この時間内にボールをプレーできないと判断した場合、救済方法を選択することができます。

これらの時間はすべてプレーの進行に関係するものです。したがって、2023年からは規則5.6b(3)により、これらの時間内に再プレーしなければならなくなります。

例えば、ティーショットでボールを見失った場合、3分間のボール捜索時間内にティーショットを打ち直すことができます。しかし、3分間経過してからティーショットを打ち直すことはできません。また、3分間以内にボールを見つけても、1分間以内に確認できない場合や合理的な時間内にプレーできない場合も同様です。

10. パットしたボールが虫に当たったときに再プレーできなくなる

パットしたボールが虫や動物や鳥などの外的要因に当たってしまった場合、どうすればいいでしょうか?

これまでは、規則11.1b(1)により再プレーすることができました。しかし、2023年からは規則11.1b(2)により再プレーすることができません。そのままプレーしなければなりません。

これはパッティンググリーン上での外的要因への対応を他のエリアと統一する目的です。他のエリアでは従来からパットしたボールが外的要因に当たっても再プレーできませんでした。

ただし、パッティンググリーン上でパットしたボールが他のプレーヤーやキャディーや競技委員会や規則違反者などの人為的要因に当たった場合は引き続き再プレーすることができます。

まとめ

以上、2023年のゴルフルール改正で知っておきたい10個のポイントを解説しました。2023年から施行される新しいルールは、ゴルフをよりわかりやすく、公平に、楽しくすることを目指しています。

新しいルールを知ることで、ゴルフへの理解や興味も深まるでしょう。また、ルール違反やトラブルを避けることもできます。ぜひ参考にしてください。

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